観劇記録

オフィスコットーネプロデュース 山の声-ある登山者の追想-」オリジナルバージョン

山の声-ある登山者の追想-」オリジナルバージョン-感想-

作・演出:大竹野正典 プロデューサー:綿貫凛

桜田燐

先日に引き続きいてもたってもいられず観劇して参りました。『埒もなく汚れなく』とどちらを先に見るかという順番は人を選ぶのではないかと思いますが、凄まじかったです。先に埒を見ていますので、冒頭はやはり作品を透けて大竹野さんという人物を背景に見ていたので本当になんて事ない会話のシーンでツーッと涙を流していたのですが、物語が中盤に差し掛かると私の体質なのか(もちろん演者さんの力もあります)作品自体に目が行き、ただただそこで起こること、二人の男を刮目し吹雪を前に目を閉じることができませんでした。埒を踏まえた目線だと、眼前に広がる舞台には男達が山登りをした時の話や家族の話などを笑いながら聞き合いながらしている中で、話している内容や端々に散りばめられた言葉などが大竹野さんその人の言葉のように聞こえてきました。最後猛吹雪の中雪を掻き分け必死に小屋に戻るシーンなどは九割ほど目の前で起こることに意識が行き、残り一割で時折大竹野さんの姿が演者の方と重なったりし、吹雪が積もっていく度に目が眩みつつもそれでも最後の最後まで意識が瞬きを拒むほど男達から目を離すことなく食いつくように見ており、意識が舞台に支配されたように感じました。実際に山を登ったことはありませんが、山の過酷さがまざまざと見せつけられ、自然の恐ろしさというものが何かの暗示のように思えてなりませんでした。ちょぴっと観劇続きだったこの期間で思ったのは、その人の仕草、話し方、言葉の選び方、相手の接し方などその他あらゆるところからその人の生き様というか人生が垣間見えるというのはとても素敵で、劇の醍醐味の1つなんじゃないかと見ながら頭の中でニヤニヤしてました。笑

大川朝也

「埒」を見た翌日、居ても立ってもいれずに観劇しに行きました。本当は観劇三昧のアプリで観ようと思ってたんですけどね、埒観たらね、そういう訳にはね、いかないですよね。大竹野さんが最後に手掛けた遺作。埒でも語られていましたが登山と演劇は似ている。なぜ、自分としてはやはりこの部分が染みました。仕事場では変人扱いされ、山に登るのはしんどくて、なのにずっと孤独に苛まれて。それなのに妻や子を置いてまた登ってしまう。登った者にしか分からない何かが、確かにそこにあるから。大竹野さんらしい(とか言って埒もなくしか観てないのですが(笑))、泥臭くも美しい信念のような物があった気がします。また、「一人では登れない山」に二人でアタックするというストーリー。ここにも大竹野さんが言いたいことがあったと思います。まあ相手が男というところから言いたいこと…というよりなにか大切なことに気付いてぼそりと照れながら溢したって印象です。もし、次の作品があったとしたら、きっと…なんて思っちゃいますね。でも一個だけ僕失敗しちゃいました…埒より先に山を観とけばよかった…!埒にバリバリ引っ張られた翌日だからってのもあると思いますが、そこにいないはずの大竹野さんのことばかり気になってました。いやまあそれはそれで面白くてすごくよかったのですが、純粋に観たいという気持ちもあり…!Twitterで見かけたお勧めの順番『山→埒→山』でいけばよかった…まあもうそう言っても後の祭り。めちゃ面白かったことには変わりありません。最高でした。機会があればもっと大竹野さんの作品を観たいと思います。