観劇記録

【DVD】キャラメルボックス「TRUTH」2005年

キャラメルボックス「TRUTH」-感想-

作・演出:成井豊+真柴あずき

大川朝也

ずっとオススメされてたキャラメルボックスの作品の一つ。先週(よりちょっと前かな?)くらいに観てズルズル感想書くの後回しにしてたのですが、まさかその間にキャラメルボックスが活動を休止するなんて…なんか、本当に、何があるか分かりませんね世の中。さて、truth。めちゃかっこよかった…幕末のお話。最初からクライマックス。調べてみるとキャラメルボックス初の悲劇と銘打った作品とのこと。
その銘に違いなく、最終的には誰も救われることなく終演しました。でも僕は救われる手前であえて物語を終わらせたのかと思います。この物語はキャラクターそれぞれのtruth、つまり「誠の心」を貫き、その結果を描いていくストーリー。だから彼らが救われていくのはまた別のストーリーなのかもしれません。ハッピーエンド大好きな僕が「続きが観たい」と思ったのもそういうことなのかもしれません。そもそも幕末という時代でなかったらこんな結果には…なんてこと思ってしまいますね。トレーサビリティー的にどんどん悪いのはどこだと辿っていけば時代に行き着くんじゃないかなと。甘いかな?キャラクター全員、自分が信じる自分なりのTRUTHを持ち精一杯生きたていてとても魅力的でした。中でも一番惹かれたのは鏡吾というキャラクター。無実の罪をかけられたのに何も言わず受け入れ、腹を切った父を持つ人物。そのため家も没落しメインキャラ達の中では一番身分の低い武士。あの時代、身分が低いことがどんだけ肩身が狭かったか…いつも一緒にいる友人の中ですら身分の差を感じてしまう…「身分なんて気にするな」なんて身分によって虐げられたことのないやつが言うことですよね。その気遣いがどれだけ彼を傷付けていたか。鏡吾は鏡吾のTRUTHに気付いてほしいものです。そして、観てる側。つまり僕のTRUTHはなんなのか。考えないといけませんね。演劇に軸。置いてじっくり考えてみようかと思います。彼を主人公にした作品もあるようなので観なきゃ!

桜田燐

キャラメルボックスを観ている時、これに限った話ではないんですが毎度変な泣き方をしている気がします。それはさておき、容赦なく苦しさ葛藤が荒波の如く押しよせ、それを感じたシーンが終わってもなお頭の中で問答が繰り広げ られ、とても2時間とは思えないほど濃密でしかし一瞬にして過ぎ去り作品は終わっていました。現実と回想シーンが行ったり来たりしますがそこでもセリフ以上にそれぞれの役の身分、思想、腕っぷし、それらを全部含め た葛藤などがいたるところに存在し、一つの事故が(あくまできっかけの一つにすぎなかったのかもしれません)様々な悲劇 を呼び起こしている様を見ていて思考が止まりませんでした。役々の苦脳や必死さ、生き辛さ、胸の内に秘めたそれぞれの思いが表情から体の声に至るまで全てに表れていて、聞いて苦しく見ても苦しく考えても苦しくで今思い出しても苦しさが蘇る ほどです。言葉というのはその言葉自体がどうというのではなく個人が過去を踏まえて何を思ってはたまた誰かを想いそれを受けて変化 していくのであって、言葉というより《個人にとっての言葉》が何よりも重要なのだと認識しました。でも最後の方の言葉は 届こうが届くまいが関係なく、確実に、向き合ってきて考えて作用して行動してきたことに対してどうしようもなく揺るぎな い事実を突きつけており、とても悲しい終わり方に感じました。生きるとは。死ぬとは。死生観について議論されているよう な何かを知っているわけではありませんが自分自身の中にある生と死について考えさせられました。本当に手離したくて手離したんだろうか。本当は欲しくてたまらないんじゃないだろうか。そんなものは必要ないと切り捨て ているのだろうか。男にとってのその背中、その姿、声、思想、所作に至る全てが偉大であり進むべき道のりであり旗であっ たのかもしれないと考えれば考えるほど背負っている苦脳というのが膨大なものなのだと認識し始めています。男も幸せを壊 された一被害者なのかもしれない。劇中何度も己自身の truthについて問われていますが、ふと私自身のtruth とはを考えてい ました。truth。 真実、真理、真、事実などこの一つの単語でたくさんの意味がありますが 、私が面白いと思ったのは人の数だけ所謂 truth が存在しておりそれをさも単語が表しているかのように見えてきます。あの人達にとっての truth というのは私に言い換えれば劇を続ける理由が一番近いのではないかと思います。登場人物達がそれぞれの truth を持ってしてぶつかり合うというのは結果がどうであれとても大切で尊いことなのだと強く感じました。