観劇記録

Dull-colored pop Vol.20 福島3部作 第三部 「2011:語られたがる言葉たち」

大川 朝也

福島3部作の最後。

福島が被災した日とその後が語られている。

第一部と第二部でやってきたことの結果が最悪の形で出てしまう話。

震災や津波があり、そして福島原発の爆発事故があった。

第一部・ニ部の始まりは明るく・冗談交じりの会話がある楽しい雰囲気で始まっていたがこの部では地震が起きた瞬間から始まった。

一部と二部を観て上げられた気持ちで開演を待っているところにいきなりドンと大きな音が鳴って非常灯以外の照明が消える。アラーム音が鳴り響き、舞台上には避難してきた人々が騒いでいる。と、客席に向けて訴えかけてくる。

「私は死にたくなかった。私たちは死にたくなかった。」

あー、胸が痛たたた・・・

その後はテレビ局の人たちが、報道のネタのために福島の人々にインタビューをしながら、福島の現状を掘り下げていく。

3部ではこの「報道」というものがとても印象に残りました。

「何を報道すべきか」「この悲惨な状況下で、報道で何をすることができるのか」

3部の主人公は穂積家の三男、穂積真。第一部では人形・・・じゃなくてまだまだ幼かった少年が大きくなり、報道局の局長となっていた。

真の方針は「福島県民に、生きる自信と誇りを取り戻す」報道をしろと言うが、やはり仕事という面も当然持ち合わせているため視聴率という数字からは逃れられず、その視聴率を得ようとすればするほどまじめな報道からは遠ざかっていく。安易にセンセーショナルな絵を使い、福島県の悲惨な現状の、悲惨な部分を使わないと数字は取れない。

その資本主義とまじめな報道の相性の悪さに苦心しつつも、真は福島県民の内に眠っている、局員が集めてきた福島県民の要求や不平不満の先にある、「語られたがる言葉」を求める。

妻子を津波に流され、原発のあった双葉町に住んでいたからと他の福島県民にも疎まれる男性。

お腹に子を宿した妊婦と職を失ったその夫。

他県に移った時、「放射能」と言われて酷い差別にあった少女。

「福島県は全滅です」とSNSで発信する少女と風評被害で怒る農家の父。

みんな本当は何を言いたいんだろうか。

その語られたがる言葉を待ってみようと、3分だけ待ってくれと反発する局員に言い、語られたがる言葉を待つシーンがあるのですが、マジで3分くらいほぼ何も起こらない時間が流れたのが本当に印象的でした。よくあるパターンの、割とすぐにパッと出てくるやつかと思いきや、「え、あれ、これって本当に出てこないパターンあるんじゃね?」と感じさせる程の間。

生物で、次に何が起こるか分からないという演劇だからこそ効く瞬間でした。

この部は他の部よりも現代の報道に対して批判しているもののように感じます。

また、ちょうどこの感想を書いている時はコロナウイルスの感染拡大がパンデミックと認定されて、世界的に大混乱を巻き起こしているのですが、この3部目の本を読んでなんだか既視感を感じました。

演劇や音楽ライブなどの箱物に対して政府が自粛要請を出し、次々に延期や中止を発表しています。さあもんもその例外に漏れず公演を延期にしました。

その時僕らが恐れたのは当然ながら自分達やお客様方の身の安全の確保ですが、しかし、ここだけの話やはり風評被害も怖かった。さあもんは人も多いですからね。もしうちからコロナ感染者が出たら周りから何と言われるか。

「こんな時に演劇なんかするから」「大人数で集まるから」

容易に想像できます。本当に演劇をしていたから、その稽古場で感染したのかなんて分からないのに。

平田オリザさんや野田秀樹さん、そして福島3部作の作者・谷賢一さん。その他多くの方々がこの強行的な自粛要請に対して声をあげておられて、「演劇の死」というワードがTwitterのトレンドにあがりました。しかしその言葉に対するみんなの反応のほとんどは肯定的ではなかった。

「まあ、確かにそれはそうですね・・・」と納得できる批判もあったが、大抵のものはとても高圧的で頭ごなしな否定だったように思えます。

ニュースで新たなコロナウイルス感染者が出た際、わざわざ「ライブハウスに行っていた」と頭に添える。

僕の地元香川県でもついに感染者が出ましたが、「大阪に旅行に行っていた」らしいですね。

しかし会社は普通にありますし、満員電車も見ます。

梅田は少なくはなってますがやはり人で一杯です。マスクをしてない人も多く見られます。

テレビは、世間は、何がしたいのでしょうか。本当に文化を殺しにきてるようにも思えます。

もちろんそんなこと思ってないんでしょうけども。仕方ない部分もあるし怖いのも分かります。

ネットで「コロナなんて対したことないわww」みたいな言葉を見ると腹が立ちます。

ついつい心が荒んじゃいます。

きっと福島の方々が受けた差別や偏見には及びませんが、でも似たようなことは起こっているような気がしてなりません。

今の世の中にも、「語られたがる言葉」はあるんじゃないでしょうか。

テレビにはそういうものを報道してほしいと思います。してます・・・?つい愚痴っぽくなってしまいこんだけ言った後だけど、僕あんまテレビ観ないから知らないだけかもね。笑

何が正しくて、何が間違っているのか、教えて欲しいなと思います。