観劇記録

ももちの世界#5「ハルカのすべて」

桜田 燐

見終わったあとの感想としては、すごく繊細な芸術作品のようでした。

繊細。繊細に造り上げられた舞台、時間、人。無対象演技がその世界への想像力をどんどん膨らましていき、観ている人それぞれの中で“作品”が創造されていくように感じます。

ほぼ全ての生活音を人間が担当することによって異様さが出るというか、無機質さが無くなって舞台上の生き物が増えたような感覚になりました。

最も印象に残っているのが馬?ユニコーン?と映画のシーン。

馬は普通に見ても秀逸すぎて好きなんですけど、あの馬のように救済を象徴するものがあると、決してこれは不幸な物語ではないのだと、そのように思わされます。

映画のシーンは、この劇が映像作品の中の作品であることを最も強く感じさせるところではないでしょうか。私はそう思う。

観劇している時、その感覚がずっとあった気がします。

作品が終われば、芸術がある。
作品の制作途中(劇中)でさえ、芸術に見える。

冒頭にも似たようなことを書きましたが、すごく芸術的な作品だと思いました。例えるなら、美術館で絵を鑑賞している時のような感じ。
それぞれの絵には絵の中にストーリーがあって、それを描いた画家さんにも描くまでの経緯があったり描いた環境だって強く影響していることがある。
画家さんは絵の具にこだわったり画材にこだわったり塗り方、描くものの大きさだってこだわりがある。その大きさにすら、大きくなければ、小さくなければならない絶対的な理由があるはず。

色んな種類の筆を使い、大きさの違う道具を使い、短く描いたり長く描いたり暗かったり明るかったり色んな描き方が詰まったもの。

そんな時間を体験していたように思います。